忘却
あの頃 よく
馬鹿みたいに大きな口をあけて
お腹を抱えて 笑ってたよね
私はいつから 笑顔を忘れてしまったのだろう
何日も何日も笑っていないことに
ある日ふと気付く
空っぽな心を抱えて
張り付いた仮面と接吻(くちづけ)を交わす
意味など要らない 忘れてしまった
本棚の陰 はにかんで微笑った
あどけない少女はもう 消えてしまった
何もかもが 心の上を通り過ぎる
薄っぺらで 風も起こさない
火がついたように突然
泣きたくなる日々を抜けて
すべてを忘れよう 忘れ去ってしまおう
ごめんね もう
取り繕うことは出来そうにない
頑張ることに 疲れたんだ
私を永遠に その視界から消し去って欲しいの
いつでもいつまでも 私を求めないで
私は何処に居る?
空っぽな心が傾(かし)いで
やわな皮膚は裂けて鮮血を吐き出す
安らぎ探して 棘の向こうに
怖い夢見て 怯えて涙浮かべた
生きていた少女はもう 何処にも居ない
膨張した 意識の中を彷徨いながら
現実が 色を失った
崩れ落ちそうな体は
震えることさえ忘れて
失くすしかないから せめて灰になろう
刹那に生きることの意味
探すことの無意味さ
知っていて 彷徨い続けた
すべてを忘れてね 忘れ去って下さい
君が向けた背が
語っていた言葉を忘れない
きつく抱き締めれば 折れそうな
壊れ物のような君を
僕は本当に見ていたんだろうか
自分の中に偶像を作り
擦れ違う気持ちの意味を
最後になって知る
君となら どこまでも行けると信じてた
あの日突然 風がすべてをさらうまで
君の向けた背が
語っていた言葉が僕を刺す
痛いほど伝わる 君の苦しさ
押し付けていた僕の 子供じみた想い
信じることが愛だなんて
誰が決めたのだろう
弱さ認めることも出来ずに
強がりは諸刃の剣で
それを抱き締め続けていてくれた
君の強さを僕は知りもせず
掠れゆく君の声さえ
他に原因(わけ)を求め
君となら どこまでも行けると信じてた
僕は最後まで 夢の中に生きていたね
君が向けた背が
語っていた言葉を思い出す
君は最後まで 僕を気遣い
僕の目覚めを待って それだけを願い
抱き締めることが愛だなんて
誰が言ったのだろう
君が向けた背が
語っていた言葉を忘れない
もう二度と君は 戻らないけれど
最後の最後まで 力の限りに
僕に向けていてくれたそれが
愛だと知っているから
君が向けた背が
語っていた言葉を忘れない
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視線の先 君の髪がふわりと揺れる
その景色に僕は 目を奪われながら
一人祈る
この時間(とき)が 永遠に続きますようにと
叶わない願いと知っても…
出逢ったのは 雨降りそぼる9月
大人びた顔に 真っ直ぐな視線がやけに眩しくて
僕は動けないまま
君の不審げな視線を受け止めた
流れ行(ゆ)く時間が 君を奪って行く
いつか必ず
君は立ち止まりはしないだろう 決して
甘美な夢に酔い痴れる
それはそれは 甘い夢
誰にも邪魔はさせない
誰にも止めさせない
こみ上げる吐き気と闘いながら
対抗できる力など疾うに無く
抗うことをやめた時
私はどこへ辿り着けるのだろう
脈打つ鼓動の確かさに 泣けてくる
何故 生命(いのち)ばかり こんなにも確かで
私の心は虚ろなまま 虚空を彷徨う
愛されたさばかり募って
愛することを忘れた時
私の終わりが来るのだろう
誰にも止められない
背徳の罪を背負い
私は今日も生き恥を晒してゆく
生命の確かさなど 何の意味も無い
抉られた心は 傷を塞ぐ努力もせぬまま
脈打つ鼓動 確か過ぎて 笑えて来る
何故 心ばかり こんなにも虚ろで
絶つことも許されぬ生命が 無駄に流離う
愛されたさばかり募って
愛することを忘れた時
私の終わりが来るのだろう
誰にも止められない
それでも明日が来ることを
誰も止められないように…
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